風となって、森と湖の上を、旋回する。
大地に足をつけて、青く済んだ空を見上げる。
晴れていたのもつかの間、鉛色の雲がやってきて、空を覆う。
そして、雲の切れ間から、光が差し込む。
遠く水平線を望む。
北の地の、季節と天気の移り変わりを、何十分かのうちに、すべて感じる。
シベリウス・チクルスの最後、
3番、6番、7番を観て、聴いてきました。
日本フィルを創設した指揮者の故・渡辺暁雄は、フィンランド人の母を持ち、
日フィル&渡辺のコンビは、
だから、日フィルにとって、シベリウスのチクルスは、
特別な意味があるのだ。
インキネンがフィンランド人である、ということ以上に。
ウチの雑誌でも、
創刊の年にフィンランド特集をやって、
日フィルの取材もした。
「アケさん」とは、
渡辺暁雄の愛称。
2006年のこと。
今日、見返していたら、
映画『かもめ食堂』のロケ地とか
写真を撮っていて、
時代を感じてしまった(笑)。
アケさんのシベリウスは、
ダイナミックで、キレがいい。
僕もよく聴いた。
で、インキネン。
1980 年生まれと若いのに、落ち着いた指揮をする。
端正だ。
そして、オケが生み出す音は、温かい。
温かみのあるシベリウス、春にぴったり。染みました。
シベリウスは、全部で7曲のシンフォニーを作ったのだが、
いかにもシベリウス、という感じになってくるのは、3番から。
そこからどんどん独自の世界を築いていき、
ついに7番では単一楽章という、ひとつの終着点にたどりつく。
ちなみに僕は、先の特集を作る際に5番を聴いて、
シンフォニーっていいなぁ、と初めて思った。
(デイヴィス&LSO。黄金コンビ)
で、今日。
この中だったら、僕にとっては6 番がメインだった。
空を飛べるんだ。この曲を聴くと。
これは、
ヨーテボリ響という、
シベリウスだったら
現代最強コンビ
のひとつによるライブ。
スルドいね。
冷たいね。
北、だ。。。
だけど、インキネンは、僕を裏切った。
7 番が、最高だったんだな、、コレが。
6番 じゃ、なかった。
端正に、端正に、音を積み上げていって、
そして、
最後の一音は、
ふわっと、天井に消えていった。
音に翼が生えたようだった。
涙腺が、緩んだ。
やられた。。
いままで、シベリウスのシンフォニーでは
演奏機会が比較的多い7 番。
僕も何度か聴いたが、
特に心に残るものはなかった。
僕にとっての、唯一の
デイヴィス体験となった、
去年2月の、
チェコフィルとの公演@ドヴォジャーク・ホールも、
締めは7番だったが、
デイヴィスが観られる、ということ以上の
感動はなかった。
写真は、開演前のドヴォジャークホール。
今から思えば、デイヴィスは
7番以外は座って指揮していた。
この頃から辛かったんだろうなァ。。
ということで、
幸いにも、明日も同じプログラムを、サントリーで観られる。
これは幸せなことだと、思う。幸せすぎる。。
落ち着いたら、改めてシベリウスのことを。
それでは、今日は、この辺で。
明日も、皆さまにとって、素敵な一日になりますように。