40→70 ギターでデビューする!

ヤマザキです。40歳でギターを始め、8年目に入ってしまいました(2021年現在)。無謀にも70歳までにデビューするという目標を立てているのだが、はたして……? 普段はライター業をしています。

パリ管。あるいは、夏の日の想い出。

案内されたのは、
まるで屋根裏のような、細長い部屋で、
歩くと、ぎしぎしと床が軋んだ。

夏の陽は長く、もう夜の8 時を過ぎているのに
暗くなる気配はない。
窓が開け放たれているのは、エアコンがないからで、
外を見下ろすと、下は中庭になっていて、
向かいの部屋では、
中肉中背の、頭の禿げあがった初老の男が、
ひとり、煙草を呑んでいるのが見えた。
上半身は裸で、
部屋の中の、どこか一点をじっと見つめ続けている。
そして、時々思い出したように、
口から白い煙が吐き出されるのであった。


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扉の中で鳴っている音楽は、
このうえなく、甘美で、
手に取りたくなる欲望を感じさせるのであった。

つまならい、ここに書く気にもならないくらい
本当につまらない理由で、
開演までに間に合わなかった(T さん、ごめん、、ごめんよぉ…)ので、
楽しみにしていた、「カレリア組曲」は、
扉の外から、そのエンディングを聴くことに。
漏れ出る響きは、想像力をかきたてる。


イメージ 1

パリ管弦楽団の、来日公演。

来日公演は、まだまだ続く。
明日は横浜だ。
詳しくは、こちらを。


ヤルヴィといえば、
いまやその去就が最も注目される
指揮者のひとり。

2010 年から、
パリ管の音楽監督を務めている。





エストニア出身の指揮者の父ネーメは、
エーテボリ響とのシベリウス全集の録音でも知られていて、
それもあって、「カレリア」はとても楽しみだったのだけれど、
まぁ、仕方ない。。

気を取り直して、次のリスト。ピアコン2 番。
ピアニストのヌーブルジェは、20代にして早くも大物感が漂い始めている。
アンコールのラヴェル、よかったな、、

最後は、サン=サーンスのオルガン交響曲
緻密にして、ダイナミックに “決めた
昔、CD でちょろっと聴いただけだったけど、こんないい曲だったとは。
この日最大の収穫だった。

ヤルヴィの指揮は、その、武道でもやっていそうな、引き締まった佇まいと相まって、
寸分の狂いもないように見えた。
そして、奏者たちの端正な演奏が積み重なると、
とてもお洒落に聴こえたのだった。

まさに麗しい構築物、といった印象で、
再現芸術とはかくも美しいものか、と改めて思い知った気がした。

そう、再現芸術。
前に、音楽は聴くのもいいがやるほうが楽しい、みたいなことを書いたが、
これは別物。
曲の世界に浸るしかない。
こんなの、人が一生かかっても出来るかどうかわからない代物だし。



…………。

なんか疲れたな。。 
よし、休憩!


ところでさ。
よく、パリのものとかを表現するのに、
エスプリの効いた何ちゃら~」みたいな言い方するけど、
エスプリとか表現されるものって、一体どんなものなんだろ??
オレ、わがんね、、
この、パリ管のようなお洒落な演奏のことを言うのだろうか?

自分は今まで何度かパリを訪れたことがあるが、
その、最初の記憶が、冒頭の光景。
20年前に、姉に連れられるようにして(もろもろ手配係……)、
初めて訪れたパリの夜。。
こんなのも、エスプリって言うんかいね??
こんど誰か、教えてください。



そうだ。 忘れてた。。


イメージ 2
7 月に出た前号で、
その、パリ管のチューバ奏者、
ステファン・ラベリにインタビューを、したのだ。

お洒落だけど、
マイペースな方だったな、、(笑)

自分で可能性を狭めるな、
オケに入れても入れなくても、
演奏の機会は、
自分で工夫して増やしていけ、
みたいなメッセージをいただいた。

公演では、曲の構成上、仕方ないが、
本編よりアンコールのほうが
彼の出番は多かった気がする。



パリは、2回ほど、取材もした。
が、パリ管の本拠地であるサル・プレイエルには
いまだ入れたことはない。


イメージ 3
そのかわり、というわけではないが、
シャンゼリゼ劇場には入った。

名前は忘れてしまったのだが、、
室内オケと、
モーツァルトを聴いた。

場内を立ち上ってくる音の芳香と、
タローのいままで聴いたことのないような
しなやかなピアノの音色が印象に残った。

ちょっと硬派な感じを漂わせていた
ヌーブルジェとは、対照的かな。
※どちらが良い悪い、ではない。印象の話。

こんなのも、エスプリって言うんかいね??


…………。
いよいよ疲れたので、結局、休憩のまま、今日はおしまい。。
続きは、(たぶん)明日。

週の真ん中・水曜日ですが、あと2日、頑張りましょう。
今夜も、皆さまにとって、素敵な夜になりますよう。。




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「私は寝るから、お前、外に出たかったら勝手に行ってきな」
と言われ、ひとり、外に出た。
ホテルの周りを一周し、凱旋門まで出かけた。
陽は傾き、ブルーの空を切り取るそのシルエットを見上げた時、
初めて自分はパリにやってきたのだ、という気になれた。

その帰り、ホテルの裏に、小さな商店があった。
その光に誘われるように「オルボワ」と弱々しくつぶやきながら入ると、
女主人が同じく「オルボワ」と返してくれた。
水より安い、ミュスカデのボトルを1本買い、部屋に戻った。
部屋では、姉はぐっすりと眠っていた。
ミュスカデをどうしたかは、もはや憶えていない。