先日取り上げたゾフィア・ボローシュの、2013年のアルバム『En Otra Parte』を聴きました。
アルバムの核を成すのは、キューバの作曲家、レオ・ブローウェルの作品で、脇を固めるのもスペインやブラジル、アルゼンチンなどのコンポーザーによる楽曲が中心です。ラテンの香りが強く、そのパッションや哀愁をECMならではのピンと張りつめた空気感が静かに引き立てているように思いました。美しい。。夜に聴きたいアルバムだなぁ。
さて。
その中で異彩を放つというか、モダンな感覚を持ったラルフ・タウナーの〝Golden And Green〟が挿入されていたのは、これもECM(マンフレッド・アイヒャー)ならでは、といったところなのでしょうか。
ラルフ・タウナー本人による〝Golden And Green〟。ボローシュの演奏はもっと落ち着いたテンポでやっています。どこか、いつか見た夢を思い出させてくれるような、不思議な浮遊感があります。
そして、先日のハービー・ハンコック『スピーク・ライク・ア・チャイルド』のように青春の忘れ物ひとつ、というか、昔20代のころにラルフ・タウナーのアルバムを買ったけど、あまりピンとこなかったことを思い出したのです。
『Old Friends New Friends』と、あともう1枚くらい買ったと思うのだけど、忘れてしまった……。
アルバムに収録されている一曲。決して音数は多くないのけれど、じわじわと盛り上がってはすっと引いていくような。さざ波のような音の連なりに心を揺さぶれます。
あぁ、当時の僕は音楽に一体何を求めていたのだろう。
これから、彼の音楽を改めて聴いていこうと思いました。
追記的に。
『En Otra Parte』には、ドミニク・ミラーの「エクリプス」もまるでインタールードのようにそっと収録されています。彼はアルゼンチン生まれということもあるのでしょうが、今聴くと、彼が後にECMからアルバムを出すことを暗示しているようにも思えるのはロマンティックに過ぎるでしょうか……。