改めて、チャールズ・ロイド & ザ・マーヴェルズ + ルシンダ・ウィリアムスの『Vanished Gardens』を聴きました。
最初に数曲聴いたときは、ルシンダ・ウィリアムスの歌のインパクトが大きかったのですが、全体を通して聴くと、あくまでバンドの、というか、ジャズの流儀(つまり、インストというか、アドリブ重視の世界というか…)にウィリアムスが乗っかっていることが分かります。つまり、ルシンダ・ウィリアムスの存在は限りなくゲストに近い、というか。
しかし、ロイドやビル・フリゼールはじめ演奏者が彼女に気を使っていないかといえばそんなことはなく、お互いの存在を尊重したうえで、リラックスしたり緊張感を生み出したり、共に音楽を作り出している印象です。
しかし、感動するのは、音の底に脈々と流れるブルース。いくらジャズだカントリーだロックだ何だといっても、その底にはブルースが確として存在している。
ここでいうブルースとは、アイデンティティと言い換えてもいいかもしれません。ヨーロッパの人たちに教会音楽やクラシック音楽が根っこにあるように、アメリカの音楽にはブルースがある。
そういう音楽を聴くと、いつもえも言われぬ感動というか、どこか遠いところに思いを馳せるような気分になってしまうのです。
豊穣な音楽だと思います。