前回の記事で、フンデルトヴァッサー・ハウスの写真を引っ張り出そうとして、昔のフォルダを開けたのですが。
そうしたら、こんな写真も出てきました。
これは、ウィーンのど真ん中、シュテファン寺院前の広場。右の青いTシャツのお兄さんが、ギターを持って弾き語りを披露していました。曲はオアシスの〝Don't Look Back In Anger〟だったと思います。サビのところでは、周りに集まってきていた若者たちも大合唱!
モーツァルトとも縁のあるシュテファンで聴くオアシス。不思議な感じでした。ウィーンが「音楽の都」と呼ばれること、クラシック音楽のイメージが、違和感に拍車をかけたのかもしれません。お兄さんの周りに集まってきた若者たちも観光客なのでしょうし、お兄さんもひょっとしたらそうなのかもしれません。
そして、そんな違和感よりも印象に残ったのは、若者たちがオアシスの往年のヒット曲、彼らからしたらひと世代もふた世代も前の曲を普通に「自分たちの歌」として歌っているように見えたこと。古い新しいに関係なく、いいと思ったものを歌う、というような。
このときは、市場の近くのホステルに宿泊していたのですが、そこに泊まっていた中学生くらいの子どもたちも、夜中、オアシスを大合唱していました。ちょっとうるさかったけれど(笑)、よほど楽しいんだろうな、と思って興味深く聴きながら眠りに落ちていったのを憶えています。曲は〝Wonderwall〟だったかな?
このオアシス合唱団(と僕が勝手に命名しました…)とは、その後も何度か出会いました。プラハにもいましたし、数年後に訪れたベルリンでも、ホステルで彼らと遭遇しました。
歌い継がれていっているんだなぁ。
そういえば。
先日、あるシンガーソングライターにインタビューをして、「歌い継がれる歌を作りたい」なんていう話になりました。
「僕は学生の頃からホスピスでボランティアを続けているのですが、もう自分の最期が近いと自分でも悟っている方々が僕に曲のリクエストをくださるんです。それは『ふるさと』だったりするのですが、僕が彼らと同じ境遇になったとき、最後にリクエストするような曲はなんだろう。そう考えたときに、そういう曲、みんなに歌い継がれてもらえる曲を僕は作りたい、と思うようなったんですよね」
僕はまだそういう、「最後のリクエスト」なんていうことは考えていませんでしたが、人生の最期は、遅かれ早かれやってくる。そのときに聴く――願わくば、人に歌ってもらうよりも自分で弾いて歌いたい、なんて考えてしまいますが――そんな曲を意識しながら、今後練習していったほうがいいのだろうか。
とにかく、元気なうちに精進していくことが今は大事かな、と考えた次第です。