昨日は東京・春・音楽祭の初日、シンフォニエッタ・クラコヴィア with トマス・コニエチュニーの公演に行ってきました。
【「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2018-」開幕!】初日を飾ったのはポーランドの古都クラクフから来たシンフォニエッタ・クラコヴィアと、同郷のT. コニエチュニー。重厚な弦楽合奏とドラマティックな歌声に会場からは万雷の拍手が贈られました。同オケ&コニエチュニーは明日も公演を行います! pic.twitter.com/abFofMLBoe
— 東京・春・音楽祭 (@tokyo_harusai) 2018年3月16日
シンフォニエッタ・クラコヴィアはポーランド・クラクフを本拠地とする弦楽合奏団。この日は「マーラーに捧ぐ」というサブタイトルのとおり、マーラーのアダージェット、『亡き子をしのぶ歌』、そして彼が編曲したシューベルトの『死と乙女』を演奏しました。
僕はマーラーの曲で、ちょっと濁ったような、ユダヤのクレズマーのような陰のある旋律が出てくる瞬間(これはベニー・グッドマンとかのスイング・ジャズにも共通しているのでは、と思います)が大好きで、このステージでも存分に楽しみました。バリトンのトマス・コニチュエニーも情感豊かに歌を披露し、素敵でした。
また、シューベルトの澄んだ音とマーラーの濁りの対比は興味深く、両者の間に横たわる時間、またお互いの作曲家としての立ち位置の違いを垣間見たような気がしました(シューベルトもマーラーの編曲だったのですが)。
そして、アンコールでは祖国ポーランドが誇るショパンのノクターン2番を、さりげなく披露したのは心憎い演出だったと思います。
さて、いつもはクラシックの音楽会は、2階席とか、ステージ全体が俯瞰できるような席で観ることが多いのですが、昨日は東京文化会館小ホールの、最前列。ステージから2メートルもない距離で観ると、演奏者の息遣いが本当に間近で感じられて、またとない経験でした。
そして、ギターを練習している身からすると、バイオリニストやチェリストの指使いも、ものすごく参考になります。特に細かいヴィブラートのかけ方など、どうにかして取り入れられないかな、なんて考えてしまいました。
そして。
メンバーのもっている楽器が、どれも渋い!
言ってみればどれもがヴィンテージ楽器。みんながみんな、何百年も前の楽器を持っていたわけではないでしょうが、何百年も同じデザインを保っているヴァイオリンやチェロは、どれも不思議なオーラをまとっているように見えました。そして近くで見ると、どの楽器も色合いやフィ二ッシュに細かな違いがあって、見ているだけでも楽しいのです。
見る人が見ると、うずまきの形だけで誰が作ったものか分かるそうですが、そんな細かな意匠、ギターにも取り入れられているデザインなど、もっと調べてみようと思ったのでした。
ギターや楽器について考える楽しみが、またひとつ増えたような気がした夜でした。